さいたま市の西の端、荒川堤外地(堤防の河川側)に広がる、塚本地区。都心から、わずか22kmの位置にあるこの地域は、荒川中流域の原風景が広がる、さいたま市内最後の里山の一つです。
土地の魅力
この地域には条理遺構が確認されており、古く奈良時代(1200年以上前)から水田での稲作が営まれてきました。荒川や入間川の氾濫原では、川が運んだ土が積もった微地形をうまく活かして田んぼが配置され、水路から田んぼ、田んぼから田んぼへと水が流れていきます。
地区内には、古い河川跡や、雑木林などもあります。また、かつて人が住んでいた頃に土を盛って家を建て屋敷林がそれを囲んでいた「水塚(みづか)」の跡などもあります。市の指定文化財に登録されている薬師堂や、小さな神社なども残り、かつての集落としての面影を残しています。
そんな環境のなかでは、今もたくさんの生きものたちが息づいています。田んぼと雑木林などが連続してつづく場所にしか生息しないニホンアカガエルや、春に地面を埋め尽くす絶滅危惧種のノウルシ、メダカやドジョウといった、かつては当たり前のようにいた生きものたちが、今も生息しています。